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アフリカの台所

  スーダン Sudan

~食事と笑顔を持ち運ぶ食卓 スィニア~


ABOUT
・アフリカの東北部、エジプトの南に位置する国で、アフリカ大陸の中でも3番目に広い国土をもつ
・ダルフール紛争や2011年には南スーダン独
立をめぐる紛争があった
・アラビア語の案内板とスカーフで頭を覆ったイスラム教の女性たちの姿が目にとまる


誰とでも分かち合える食卓
スーダンの食事に欠かせない道具<スィニア>をご紹介します。
見た目は大きなアルミの丸盆。しかし、ただのお盆ではなく、そのまま食事のテーブルにもなる。普段は台所の片隅に立てかけてあって、ひょいっと片手で取り出して、料理をのせて適当な箱や椅子の上に置くと、どこでもそこが食卓になる。
いろいろな大きさがあって、一番よく使うのは直径1.2メートルほどのもの。毎日使うから傷だらけであちこち凹んでいる。5~6人で囲むのにちょうどよく、台所の一角が食卓になる。少人数のときは小さいもの、大人数のときは大きいもの。人数がしょっちゅう変わるから、いくつものサイズのスィニアがある。

スィニアには、毎回違う料理がのる。よく食べるのは…
・アスィダ—練り粥の主食で、ソルガム(イネ科の雑穀)の粉で作る。
作り方はそばがきに似ているが、量を作るので、練るのにすごく力がいる。出来上がりの味と見た目もそばがきに似ていて、ヨーグルトを煮込ん だソースなどをかけて食べる。
・キスラ—ソルガム粉のクレープの主食
・サラダ―生野菜を刻んでレモン汁とダクワ(ピー ナッツクリーム)であえる。
・ファッタ―ピタパンのような平焼きパンを 粗くちぎって大皿に敷き詰め、牛肉を骨ごと煮こんだとろっとしたスープをかける。食べ方が楽しい料理で、スープが染み込んだパンを、四本指でまとめて口に運ぶ。牛骨のうまみスープが、口の中でじゅわっと広がる。
・小麦粉のクレープにトマト風味の煮込みをかけた料理もある。汁気+吸水性のある生地を手で食すのがスィニアの食卓の鉄則。

スィニアは、とても懐の広い食卓で、ごく自然に人が増え、お盆を運ぶだけだから外で誰とでも食卓を囲む風景が当たり前にある。
慢性的貧困のスーダンは、食事がままならない南スーダンからの難民だったり、一日一食がやっとの人も少なくない。スィニアを囲んで食事を分け合うことは、かけがえのないものになっている。